ミノキシジルの効果はいつから？ 初期脱毛と発毛の流れを詳しく解説

ミノキシジルは、米国において高血圧治療薬として1970年代より使用されてきた実績のある薬です。高血圧治療薬としての臨床試験中に多毛症という副作用が多く出現することが分かり、それを逆手に発毛剤として活用できないか、という視点で開発されました。

ミノキシジル外用薬は、FDAが初めてAGA治療薬として承認し、日本では1999年にダイレクトOTC※第1号として発売開始されました。

※医療用医薬品（医師の管理下で使用できる薬）として未承認であった新規有効成分が、一般用医薬品（薬局で医師の診察なしに購入できる薬）として直接承認される薬のこと

高血圧治療薬として開発されたミノキシジルですが、なぜAGAに対して効果があるのでしょうか。ここでは、AGAで髪の毛が薄くなるしくみと、ミノキシジルがどのようにAGAを改善するかについて説明します。

ミノキシジル外用薬は、日本では通常ミノキシジル1％（主に女性）及び5％（主に男性）が発毛剤として用いられています。使用方法は「1回1mLを1日2回塗布する」となっています。医療機関で医師の診察を受けることにより、OTCの5％より高濃度の10〜15％製剤を使用することもできます。※ミノキシジル外用薬のうち、含有量が5%より多いものは国内未承認です。

ミノキシジルは一般的に、使用後3ヶ月から効果があらわれはじめ、6ヶ月くらいの使用が必要とされています。ただし、使用をやめると元の状態に戻ります。

副作用としては以下のようなものが報告されています。

よくみられる副作用は“皮膚症状”で、発生率は2〜14％と報告によってさまざまです。赤みやかゆみ、かぶれなどの症状が出た場合はすぐに使用を中止し、医師に相談することが必要です。

過去にミノキシジルを使って発疹などが出た方は、ミノキシジルを使用できません。ミノキシジルを使ったことがなくても、ヘアトニックなどで発疹やかぶれが出たことがある場合は、事前に医師に申し出るようにしましょう。

また、円形脱毛症などAGA以外の脱毛の可能性がある方、心臓や腎臓に病気がある方、65歳以上の方は、使用する前に医師に相談しましょう。

ミノキシジルには内服薬もありますが、日本や米国をはじめ、AGA治療薬としては認可されていません。高血圧治療に使われる場合は成人で1日の最大用量は100mgとされていますが、AGA治療では1日2.5〜10mgが使用されています。

内服薬でよくみられる副作用は多毛症です。また、低血圧や頻脈などの心血管系の副作用が起こる可能性がありますので、注意が必要です。高血圧の治療で降圧剤を服用している方は、AGAで受診する際に必ず服用中の医薬品名を医師に伝えましょう。

個人輸入で入手して試してみたいと考えている方もいると思いますが、有効性・安全性の観点から、さまざまなリスクを伴います。心血管系の副作用は命に関わることも多いため、医師の診察のもとでの適切な使用が望ましいと考えられます。

なお、以下の場合はミノキシジル内服薬を使用できません。

• 褐色細胞腫と診断された方
• 過去にミノキシジルを使って発疹などが出た方

また、内服薬についても、円形脱毛症などAGA以外の脱毛の可能性がある方、心臓や腎臓に病気がある方、65歳以上の方は、使用する前に医師に相談しましょう。

※65歳以上の方は一部お薬の処方ができない場合がございます。予めご了承の程お願いいたします。
※ミノキシジルは、国内において頭皮に塗布する一般用医薬品として承認されています。内服薬としては未承認の医薬品であり、万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

初期脱毛はミノキシジル使用開始時に一時的に脱毛が増加することです。初期脱毛の発生率については、外用薬で17.5％、内服薬で32％と報告されています。

初期脱毛は一時的な症状であり、落ち着けば効果があらわれてきますので、あわてずしっかりと治療を続けることが大切です。初期脱毛も効果と同様に個人差はありますが、長くても1〜2ヶ月程度でおさまります。3ヶ月以上続くようであれば、医師に相談しましょう。

A.外用薬は内服薬に比べて効果のあらわれ方がゆるやかです。同じく推奨度Aのフィナステリド、デュタステリドの内服と併用することで、より高い発毛効果が期待できます。

なお、「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」においても、ミノキシジル外用薬は推奨度A（強く勧める）となっています。

A.ミノキシジルを使って薄毛が改善されても、AGAが治ったわけではありません。

治療を中止すれば、その時点から脱毛症は進行していきます。発毛効果を期待する場合は、服用を続ける必要があります。

A.下記に該当する方は注意が必要です。

• 過去にミノキシジルアレルギーを起こしたことがある方
• 未成年者
• 妊娠・授乳中の方
• 妊娠を考えている方
• 循環器系の疾患がある方
• 腎臓、肝臓に異常がある方

ミノキシジルの内服薬を使用する際には、併用に注意が必要な薬があります。特に、ED治療薬（バイアグラなど）や硝酸薬（狭心症治療薬など）との併用は、血圧が下がりすぎるリスクがあるため注意が必要です。

また、降圧剤を服用している方も、事前に医師に伝えるようにしましょう。

A.ミノキシジル外用薬は、日本の厚生労働省をはじめ、世界各国で脱毛症治療薬として承認、使用されています。また、日本の治療ガイドラインでも高い評価が得られています。ただし、効果には個人差があります。

A.AGAでは毛包が小さくなり、それに合わせて毛髪も細くなり、抜けやすくなります。ミノキシジル外用薬は毛包を大きくすることで、ヘアサイクルの成長期が長くなり、十分な太さを持った髪が頭部に戻ってきます。

毛包が完全になくなった場合、ミノキシジルで復活させることはできません。しかし、毛包が完全に消失するケースは、火傷やレーザー治療などの特殊な外傷歴がなければ、通常のAGAではほとんど起こりません。「もう手遅れかも……」と諦めず、まずは医師に相談して適切な治療方針をみつけましょう。

A.ミノキシジル外用薬が効かない人の特徴として、そもそもAGA（男性型脱毛症）や女性型脱毛症ではないケースが考えられます。

ミノキシジル外用薬は、AGA及び女性AGAに対しての効果が認められています。その他の薄毛や脱毛にも効果があったという報告はありますが、AGAほど十分なエビデンス（試験や研究で得られた効果があるという証拠）はありません。

頭頂部が薄毛のタイプには適していますが、生え際が後退するような前頭部の薄毛には奏功するケースはあるものの、効果が限定的であることが多いとされています。したがって、薄毛の部位や原因によって、治療の効果に差が出ることがあります。

A.ミノキシジルはもともと高血圧の薬として開発されました。そのため、服用中にお酒を飲むと、血圧が下がりすぎてしまい、立ちくらみや場合によっては転倒する危険性があります。

AGAの治療に使用する場合は服用量が比較的少ないため、重篤な低血圧が起こる確率は高くないと考えられます。しかし、安全のために服用後の飲酒は控えた方がよいでしょう。

A.ミノキシジルは、服用をやめると再び脱毛が進行します。そのため、毛髪量を維持したい場合は、継続的な使用が基本となります。

ただし、「どの程度まで回復すれば満足か」という治療のゴールは、その方によって異なります。「いつまで続けるべきか」「やめるならどうやって薬を減らしていくか」は、自身の理想や生活スタイルに合わせて、医師と相談しながら決めましょう。